#003 FIAT 128 Evolzione 01-May,2024

エヴォルツィオーネ…。
なんていい響きなんでしょうね。

ご想像どおり、エヴォリューション=進化を意味するイタリア語ですが、その響きだけでなんだか特別感があります。
ちなみに過去、FIAT128には高性能レースバージョンたるABARTHモデルや、Evoluzioneなんてモデルがあったわけでもありません。

ただFIAT128 は70年代のイタリアを代表する国民車である一方で、極めて高い戦闘力をもったレースカーとしても長く活躍してきた経緯があります。

そんなの知らないよ! って言われるのは当然。日本でサニーやスカイラインが国内レースの主役でした! ってイタリア人に言っても誰も知りません。そういうことです。

いまでも普通にヒルクライムのイベントに出かけると、多くの128が最新技術でかっ飛んでいます。

パスタのペペロンチーノのように、毎日食べられるけど美味しい! という感じのFIAT128を、新しい技術でいまの道路で「楽しく乗りたい」という進化を目指して、エヴォルツィオーネと呼ばせていただくことにしました。

最初期型FIAT 128 4ドア。これがベースです。

そのコンセプトは、1,100ccの1968年当時の代表的な家族向け、4ドアセダンの雰囲気をそのままに、当時のイタリア国内グループ2カーの風味をちょっぴり効かせ…。
でも、暑いのはイヤ、乗り心地が硬いのもイヤ、見た目は小洒落ていないとイヤ…。

なんてワガママの塊みたいな改造プランを徐々にかためてきました。

イタリア国内のレースで活躍する128をまとめた本がFrancesco Panarotto氏によりついに刊行!

イタリアからは、ヒルクライマー御用達モデナのGozzoli。社長のステファノにはフィレンツェまで出向いてもらい、ピストンサイズや仕様についてあーでもないこーでもないとワイン片手に打合せをしてきました。

また、戦前から多くのレーシングカーのカムシャフトづくりでならした、ミラノの老舗Colombo &Bariani。彼らも、最新設備で、高効率燃焼の研究を進めたカムシャフトづくりを行っているので、今回のプランに基づくいい感じのカムをお願いしました。

チューンナップというと、どうしてもレースな感じが強くでてしまうのですが、そこはあえてこの1,100ccのランプレディエンジンの良さを活かしつつ、トルクアップをメインに使いやすく燃費向上を視野に入れ、日常の走行でイタリアンな走りを存分に楽しむというコンセプトでピストンやカムシャフト、エキマニなどを製作してもらいました。

70年代からサーキットやヒルクライムで128は大活躍。イタリアやドイツでは現在もその勇姿をみることができます。

また、電装系も今回の作業にあわせてすべてを一新。この手の作業の先進国であるアメリカからは電装系パーツを。そしてEV関連で圧倒的な技術と商品開発の進む中国からは、電動エアコンを導入。

これらをもとに調理するのが、日本チームという図式で進めています。

日本からはパーツの特注に株式会社日南様、エンジンの組み上げには、大御所ウエタケエンジニアリング様、そして新たに日本のブラスト装置開発&製造そして加工を行う国内大手、株式会社不二製作所さんにも、ボディワーク面でご協力も仰ぐこととなりました。

オリーブの実のグリーンという名のボディカラーをベースに再塗装する予定

アルファ・ロメオでもフェラーリでもないのに、なぜそこまで!? なんて声が聞こえてきそうですが、イタリア車の最大の魅力はカッコよさや可愛さにあるので、できるだけじゃんじゃん普通に毎日乗りたいわけです。

究極のワンオペカーショップですので、ある意味ユーザー目線すぎるわけなんで、スピードもそれなりにスローですが、一応ヤルことはやっています。酷暑の足音が徐々に大きくなってきた2024年ですが、とにかく頑張って進めていきます。

果たしてオリーブグリーンの128が快音を轟かせ路上に復帰するのはいつになるでしょうか?

乞うご期待!

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