Lancia Prisma 1600
ランチア・プリズマ1600 キャブレター仕様
美しき小さなセダン80’s
ランチア・プリズマと聞いてピンとくる人が少ないことはわかっています。
ランチア・プリズマと聞いてピンとくる人が少ないことはわかっています。
ランチアというメーカー自体、ようやくつい最近長き眠りから復活したばかりですからなおさらです。
ランチアは未だに大統領専用車を務める、イタリアで最も高級なブランド。創業はなんと1906年です。
このプリズマは、そんなランチアの伝統をしっかりと引き継いだ、小さなセダン。
ランチアとい80年代らしい、直線基調のキレのあるデザインですが、カクカクすると、どうしても子供っぽい感じというか、チャチな感じになりがちですが、こいつはちょっと違います。
このころ、つまり80年代中期のランチアのラインナップは
最もラグジュアリーでサイズも大きい「テーマ」。
より街乗りなどに最適な小型セダンの「プリズマ」。
さらに軽快でスポーティな2ボックスモデルの「デルタ」。
という三車種。ちなみにすべておなじみジウジアーロさん率いるイタルデザインの手によるものでした。
最後の黄金期
60年代後半から90年代初頭まで、ラリーの王者といえばランチアでした。そのブランドイメージは今もなお健在で、フルビア、ストラトス、ラリー037といったチャンピオンマシンたちは、今でも多くのヒストリックファンの垂涎の的です。
特に80年代はランチアのモータースポーツ界での活躍が目覚ましく、ラリーのみならず耐久レースでも大活躍。元来のフォーマルで上質な世界観とスポーティイメージの融合により、さまざまな魅力的なモデルや仕様が存在していました。
ブランドに勢いがある時代に作られたクルマというのは、おおむね魅力的なクルマが多いというのはおわかりいただけると思います。プリズマはまさにこのころの「ランチアらしい」一台だったというわけです。
photo by Motorsport Images
デルタの弟分
さて、今回買い付けたプリズマですが、80年に登場し、カー・オブ・ザ・イヤーも獲得し、80年代後半から90年代初頭のラリー界を席巻した大人気モデル「デルタ」の兄弟。
エンジンや足まわりは共通で、外観的にはデルタのトランク付きモデルという位置づけ。ちょっとスポーティなデルタ兄ちゃんに対して、ものすごく勉強のできるおとなしめの弟といった位置づけになっておりました。
ちなみに、今はなきモータージャーナリストの先駆者、ポール・フレール大先生にプリズマのことを聞いたとき、「実はデルタよりもトランクがある分リアの挙動が安定していて、極めてレベルの高い走りを堪能できるよ!」
とお墨付きをいただき、ソッコーで購入した経験があります。
ゼニアのシート
80年代のジウジアーロさんらしい、シンプルですがクリーンなデザインのプリズマ。
内装も同様にシンプルですが実に飽きのこない理知的なデザインです。
それに加えて、イタリアが誇る高級紳士服生地ブランド「エルメネジルド・ゼニア」の特注シートファブリックが一層社内の雰囲気をもり立ててくれます。
文字通り襟を正して乗り込みたくなるような、シックでシャープな出で立ち。
一方でコンパクトな佇まいがもたらす、得も言えない軽快さ。
走りもジェントルなのに軽快という、不思議な一台なのです。
いまや見かけなくなったセダンというフォルムに「らしい」魅力と今でも通用する新しさを秘めたデザインの数々。
元オーナーならではの「贔屓目」マシマシ表現ではありますが、多くの元オーナーたちが「もう一度乗りたい」と言わしめる隠れた名車だったりします。
ちなみにあの人も...。
ファッションといえばイタリア。
そんなイタリアのおしゃれピープル列伝を語るうえで、決して避けて通ることのできないレジェンドが、元フィアット会長にして欧州社交界の伝説「ジャンニ・アニエッリ氏」。
あまり知られていませんが、実は彼もプリズマを街乗りとして使用していました。
そういうところが、さらにプリズマらしくてしびれます。
©Gianni Agnelli
大後悔案件
今を遡ること10年ほど前、彼の乗っていたプリズマが売りに出たことがありました。
買えない金額ではなかったのですが、当時すでにプリズマを持っていたこともあって、購入を見送ったのですが、今となってはほんとにほんとに大後悔...。
外から見ると一見普通のプリズマなのですが、会長が乗っていたものがノーマルとは違うのは当然でして...。
Lancia Prisma ”Gianni Agnelli” by ABARTH
エンジンはアバルト製200HP。ナッパレザーで覆われたダッシュパネルにグレーのアルカンタラ素材のシート。ステアリングはアニエリ氏お気に入りの定番Nardi社製ウッド。
同氏ご逝去の後、売り出されたこのクルマはアバルト社の名義になっていました...。
右はその実際の車両の内装写真。
ワンオーナー車両
それでは今回販売するプリズマについてようやくお話したいと思います。
最近弊社の流行りである、「
親が大切にしていたが子供への引き継ぎがうまくいかなかった案件です。
自慢のゼニアのファブリックも極上の状態を保っており、リアドアの内張りには新車時のビニールが残っています。もちろん天井も落ちていません。
冒頭の当時のカタログ写真にあるように、プリズマのテーマカラーだったシャンパンゴールドの塗装もオリジナルのまま。
シートベルトの色までブラウンで、さすがの洒落っ気を存分に味わえます。
イタリアンフォーマルな色合い
イタリアの青空が眩しすぎて、若干シルバーっぽく見えてしまっていますが、このボディカラーは冒頭にある当時のイタリアのカタログと同じ、当時のプリズマのテーマカラーだったシャンパンゴールドです。
もちろん、本塗装もオリジナルをキープしています。
日本ではブルーランチアと呼ばれる濃紺が有名ですが、その場合のダッシュボードなどはブラック。一方このゴールドにはチョコレートと呼ばれるブラウン系のダッシュとシートベルトが備わります。
ベージュの格子柄シートとあいまって、さすがの洒落っ気を存分に味わえます。
なぜにキャブレター?
日本にもプリズマは輸入されていましたが、当時の燃料噴射装置がちょこちょことしたトラブルが多く、実は唯一といっていい欠点でもありました。
多くはアイドル回転が不安定になるという症状でしたが、当時のメカに確認しても「本当のところ原因不明」という答えが返ってくる始末。
というわけで、以前から程度の良いトラブルフリーでメンテ楽々のキャブレター仕様プリズマを探していたわたしは、まんまと食いついてしまったということです。
伝統のツインカムエンジンの味わいと音をいつでもどこでも気軽に堪能できる一台。(車重1t未満で105CV)
美しい内外装に、軽快な走り。そして、実はリアのトランクがあるおかげで兄弟車のデルタよりもしっとりとした粘りのあるコーナーリングを見せてくれるというおまけ付き(FFモデル比)。言うことないです...。
さんざんうんちくを書き連ねましたが、純粋に内外装デザインをご堪能いただきたい、
これぞイタリアというセダンです。
ホテルのバレーでも堂々とできるような格調の高さながら、実は全長は4180mm。
トヨタのプリウスで4600mmありますので、そのコンパクトさがわかります。
もちろん幅もせまく、5ナンバー枠なので税金も控えめ。
一切主張しないけど、目立って仕方ない。
街を走ればショーウインドウに映る姿におもわずニヤリとしてしまう。
微妙なデザインが溢れる今の日本で、ランチア・プリズマはキラリと光るキレッキレのデザインで街の視線を釘付けにします。
(大げさな個人的感想です)
Lancia Prisma 1600
排気量 1,585cc
馬力 105CV
車重 975kg
5速マニュアル
フルオリジナルペイント・ワンオーナー
Price- ASK (お問い合わせはこちら↓)