FIAT 128 Berlina

古いイタリア映画がお好きな方なら、ひょっとしたら見たことくらいはあるかもしれませんが、この128は、日本の道路では相当レアなクルマだといえます。

この愛嬌のあるタヌキのような顔のベルリーナ(セダン)は、1969年から1985年まで生産されたロングヒットモデルで、日本でいえば、コロナやサニーのような立ち位置です。(両方ともすでに姿を消してしまっていますが…。)

日本のセダンの代名詞トヨタ・クラウンでさえセダンフォルム出なくなってしまった今、ある意味新鮮なデザインと思われてしまいそうな典型的セダンです。

エンツォのアシ

当初FIAT 128は2ドア、4ドアのセダン、そしてワゴンタイプの三種類が標準で用意されました。セダンボディにもかかわらずとてもコンパクトな128は、そのサイズから想像できないほど広い室内を持ち、自動車史に残る代表的なパッケージングとして大きな反響を呼びました。

後にクーペや、ハッチバックモデルなども登場しますが、それはまたの機会に。

高速安定性に優れ、愛らしい姿からは想像できない活発かつ安定した走りが特徴なのですが、1100ccの小さなエンジンながらスムースによくまわり、メインテナンスもラク。


それもそのはず、歴代フェラーリの名エンジンを手がけた天才アウレリオ・ランプレディさんのエンジンだったりします。

フェラーリつながりでネタをもうひとつ。

実は128は、かのフェラーリの創始者エンツォの業務用のアシとしても活躍しています。

「世界最高の自動車を作るフェラーリ、そのボスはもっと現実的なクルマに乗っている、それはフィアット128…。」

てな感じのアナウンスが入ります。
いまフェラーリに勤務する人間は誰も知らないような小ネタでした。

ちょっと辛口

この128、ちょっぴり刺激的なバージョンも存在しました。通常の1100ccエンジンに対し1300ccエンジンを搭載したRALLYというモデルで、テールランプが丸くなっていたり、水温計や油圧計などが加えられていました。60年代後半から70年代初頭は、FIATグループ的にもレース活動が大変活発な時期だったので、こうしたスペシャルエディションも存在したというわけです。

ちなみに洋の東西を問わず、限定バージョンやスペシャルエディションというのは後々になって価値があがるもので、昨今の旧車ブームのおかげでこの128ラリーもノーマルバージョンの倍以上の価格で取引されています。

ちいさなセダン

実際のサイズ感は現物をご覧いただく他ないのですが、いわゆるセダンだからといって、街を走るタクシーの大きさを想像してはいけません。全長はスズキのスイフトやメルセデス・ベンツのAクラスといったいわゆるBセグメントにカテゴライズされる小型車です。

是非この128でイタリアのセダンの基本を味わってみてください!

 
All pictures courtesy of original catalog FIAT S.p.A (Stellantis N.V.)

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